LAZARUS ラザルス

特濃電撃エレクトリックポップ音楽ユニット
Sredni Vashtar [スレドニ・ヴァシュター]
ラディ・M(Laddie M)のブログ

【ライブスケジュール】
■Sredni Vashtarライブ→08月05日(土)桜台POOL
【お知らせ】
スレドニオフィシャルサイト停止中です。ご迷惑お掛けして申し訳ありません。Twitter→イタチレコード&ラディ・M
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情熱
羽根の生えているほうの男は
全裸でグリム童話を片手に開きながら
鏡に映る羽根の生えていないほうの男を見つめていた。

羽根の生えていないほうの男は
派手な装いで一冊のギリシャ神話を小脇に抱えながら
鏡に映る羽根の生えているほうの男を見つめていた。

お互いが
お互いに

自分自身とは思わず。

お互いが
お互いに

無意識の中で
己が姿を認めず。
ショート奇想譚 | - | -

アルナイル
色とりどりの卵から
次々に殻を破り
蝶が羽ばたいていく夢を見ていたのだが

一斉に部屋中で鳴り響いた
黒い時計(メザマシ)の金属音で飛び起きた。

ベッドで羽ばたいた僕は
転がりながら走り寄り

50ばかり
部屋の床に並べてある
時計(メザマシ)を
次々に、次々に、次々に、消して行った。

鳴くのを止めた硬質な金属は
まるで冬のカブトムシみたいにうずくまる。

呆けた静寂の中で
フェード・インで聴こえて来る
秒針をしばらくぼんやりと眺めていたが

ようやく
短針に目を移し、ゆっくりと長針を指差す。

「午後5時03分」

今夜はライヴ・バー「ダストボックス」で
ダン&シャーリーのミニライヴがある。

昨日、ひどく疲れていたところに
シャーリーから直接電話があったのだ。
反射的に「うん」と言って電話を切ってしまった手前
行かないわけにはいかない。

だからあのカブト...
いや、メザマシをセッティングした。

僕って何気に義理堅いよね。

開演(スタート)は6時
ダストボックスは
ここから地下鉄(メトロ)に乗って30分くらいの場所だから
支度して向かえば丁度いい時間だろう。

うん、僕って義理堅い。

シャワーを浴びて、体を拭く。
髪を乾かしながら、「あっ!」と気がつく。

そういえば
彼らの曲をまだ聴いたことがない。

素っ裸のまま
慌ててコンピューターを立ち上げ
「サバンナ」を開き動画サイト「YouMain」で検索
クリックしたら彼らの代表曲らしい「捨てないで」が流れて来た。
苦手な恋愛バラードだ。参ったな。

下着を身に付け、靴下を履く。
スラックスに両足を突っ込み、ベルトを締める。
ブラウスに両腕を通過させ、ボタンをする。
乾いた髪にムースを撫で付け
財布の中身を確認して、準備(ようい)は出来た。

だけど
夜は冷え込みそうだし
湯冷めはしたくないから
先週、ガールフレンドに買って貰った
タンチョウヅルという
想像上の動物の刺繍が入った
白地のジャケットを羽織って出掛けることにする。

明日も朝早いから
ライヴを観て、挨拶したらすぐ帰ろう。そうしよう。

「挨拶したら、すぐ帰ろう、そうしよう。」

繰り返し呪文の様に唱えながら
マンションを後にした。
ショート奇想譚 | - | -

狂わせる時計
その昔

時計という
時計全てを狂わせていたという
宝石の様な美貌も

時計という
時計全てが全て
正確な時間を指すようになった
現代に於いて

まるで
漬け物石にも劣る
扱いとなってしまった。


狂わせていた
美貌が悪いのか

正確に時を指す様になった
時計が悪いのか。
ショート奇想譚 | - | -

何度でもベルは鳴る

ルキノとトニーが
手を取り合って、ピクニックに出掛けていたんだって。

部屋で
白昼夢と抱き合っていたところに

郵便配達人が
猛烈な勢いで何度も何度も何度も
ベルを鳴らして知らせてくれたのさ。

あまりのけたたましさに
白昼夢が驚いて
窓から逃げ帰ってしまったけどね。

そのおかげで夜を迎えた僕は
コーヒー片手にアトリエに向かい
友人のブライアンから貰ったレコードを聴きながら
暫くぼんやりしていたのだけれど

2人のヴィスコンティが
何処へピクニックに出掛けていたのか

郵便配達人から
聞かなかったことに気がつき

また、郵便配達人が
言わなかったことにも軽く腹が立ったので

もうすっかり真夜中だったけれど

クローゼットから
月光と同じ色の外套を纏って

気持ち早歩きで
郵便配達人の家に向かったんだ。

時折、頭上から強烈な視線を感じたけど
満月のやつが浴びせているんだってわかっているから
さほど気にならなかったよ。

ほどなく郵便配達人の家に到着して
赤レンガの小洒落た一軒家のベルを
何度も何度も何度も何度も何度も何度も
押しまくって彼を叩き起こした。

ようやく眠そうな顔をして出て来た
派手なナイトキャップを被った配達人に対して

ルキノとトニーが
ピクニックを行ったのは何処だったのか
出来るだけ穏やかな口調を心掛けて聞いてみたのだが

ベルリンだったか...
ベネチアだったか...

全くピクニックが連想出来ない
ましてや架空の都市の名前を
呪文の様に繰り返すので
彼は相当寝ぼけていたに違いない。

ショート奇想譚 | - | -

駆ける情熱のレオ
レオナルド・ダ・ヴィンチが
全速力で走っている。

確かあれは
ダ・ヴィンチで間違いないと思う。

たまに
ダーウィンと混同してしまう時があって

先日ダーウィンを
ダ・ヴィンチと呼んでひどく怒られたばかりだ。

怒られたばかりだから
慎重に目を凝らして

ダーウィンで無い事を確認して
ダ・ヴィンチであることを確認した。

その間にもダ・ヴィンチは
どんどんどんどんどんどん遠ざかっていく。

そりゃあ、そうですよね。全速力ですもんね。

とりあえず小さくなっていく後ろ姿に向かって
思いっきり声を張り上げて

「ダ・ヴィンチどこいくんだーーーーー!!!!!!!!!」

と、叫んでみた。

すると想像以上のでかい声で返事があった。

「獅子宮だーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

瞬間、彼の姿は見えなくなった。
ショート奇想譚 | - | -
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